回想・備忘録 3日目(3月9日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(長万部~札幌)
2022.04.21 (Thu) : 旅と旅写真
上の写真はJR北海道の長万部駅(おしゃまんべえき)を、駅から北側に歩いたところの中央跨線橋より撮影。
※この記事は過去の下記記事の続きの続きみないなものです。
・2022年の廃止駅と北海道&東日本の冬旅の必需品MERRELLのウインターブーツ
・冬の鉄道旅 2022 東北&北海道、爆弾を抱えて、ひたすら駅を訪問する旅!
・回想・備忘録 1日目(3月7日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 岩手~秋田~青森
この記事は前回の「回想・備忘録 2日目(3月8日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(函館~長万部)」の続きです。
<前回のあらすじ>
夜行フェリーで青森港から函館港へ移動した私は、そこから五稜郭駅まで歩き、衝撃の事実を知ることになる。函館本線始発で、3/12に廃止になる函館本線砂原支線の銚子口駅(ちょうしぐちえき)、流山温泉駅(ながれやまおんせんえき)、池田園駅(いけだえんえき)などを巡り、同じく廃止になる函館本線(函館-長万部間)の石谷駅(いしやえき)、本石倉駅(ほんいしくらえき)を訪問し、この日の重要なミッションを完了する。そこから路線バスも取り入れ、廃止になりそうな駅をさらに3駅巡り、その日の宿泊地、長万部駅に到着し、長万部温泉で旅の疲れを癒やした。
・
・
・
朝4時半、スマホのアラームに起こされ、旅の3日目が始まった。
こんな早朝に起きるのは、出発前にも温泉に入って足腰の痛みを少しでも改善したかったからだ。実際、長万部温泉の疲労回復の効果は絶大で、ボロボロだった足や膝の痛みがほぼ改善できた。たださすがに腰の爆弾までは治しきれなかったが。
朝5時50分頃、旅館を出発。この時点で、とんでもないミスを犯していることを私はまだ知らない。
温泉街から長万部駅に徒歩で行くには、線路の東西を結ぶ中央跨線橋という近道を通るのが最短ルートなんだけど、この日そこに貼られていたお知らせを見て驚いた。
『お知らせ、このこ線橋は北海道新幹線建設工事に伴い令和4年度中の撤去を予定しています。そのため令和4年3月31日で通行できなくなります。(以下省略)、長万部町』
「まじか、温泉街に行けない!令和4年3月末って今月だよ!」
長万部駅での宿泊は長万部温泉しかないので、私にとってこれは大事件である。跨線橋を通ると駅から徒歩10分以内で長万部温泉に行けるのだが、これが無いとたぶん15~20分以上はかかると思う。
鉄道の撮影スポットとしても人気の跨線橋だったので、これはとても残念なお知らせだった。
調べてみたところ替わりの歩道橋は、なんと約6年後に完成予定の新幹線長万部駅の東西を結ぶ自由通路なんだとか。
この中央跨線橋、長万部駅や線路だけでなく、内浦湾の静かな海を望むこともできる。この日は朝焼けに染まる美しい風景だった。
そして朝6時20分頃に長万部駅に着いて、発車標(案内表示)を見た私に衝撃が走った!
「ん、始発が表示されてない、なぜだ?!」
乗車予定の函館本線の山線(長万部-札幌)の始発が発車標に表示されておらず、一瞬、何が起こっているのかわらかずパニックになりかけたが、すぐに横の壁の時刻表を確認、その原因が判明した。
原因は、始発の発車時刻の見間違いによる私の勘違いだった。前日寝る前にスケジュールが書かれた紙を確認した時に、06:03発と書かれているのを06:30発と、うっかり間違って思いこんでしまったのだ。03と30の見間違いである。
これは実際、過去にもよくあるミスで、早めに気がついて回避できたり、間違い時間の逆パターンで早く着きすぎて回避できたり、予定の組み直しで被害を少なくできたり、わりとうまく対処してきた記憶がある。
しかし今回は圧倒的に絶望的な状況だった。なぜなら始発06:03の次の列車は7時間以上先の13:29なのだ。
よってこの日の函館本線の山線(長万部-札幌)の駅の訪問予定がほとんどすっ飛んだことになる。ちなみにこの日に訪問を予定していた駅は、比羅夫駅、蘭越駅、ニセコ駅、昆布駅、仁木駅、小沢駅、然別駅、銀山駅の8駅。
<実際のタイムスケジュール>
※組み直したもの
■3/9(水)
06:38発 長万部駅
↓JR室蘭本線 東室蘭行き
07:03着 大岸駅(おおきし)
08:25発
↓JR室蘭本線 長万部行き
08:54着 長万部駅
13:29発
↓JR函館本線 倶知安行き
14:54着 比羅夫駅(ひらふ)
17:03発
↓JR函館本線 長万部行き
17:22着 昆布駅(こんぶ)
17:43発
↓JR函館本線 小樽行き
19:50着 小樽駅
19:57発
↓JR函館本線 新千歳空港行き
20:42着 札幌駅
↓徒歩5分
23:35発 札幌駅前 (北4西3)バスのりば
↓札幌・釧路六級ニュースター号(高速バス)
■3/10(木)
05:20着 釧路駅(駅前)

※ツイートはクリックしてTwitterに移動して大きな画像も見られます
もう午前中のリカバリーは不可能なので、とりあえず数分後(06:38)に発車する室蘭本線・東室蘭行きの列車に乗って、どうするか考えることに。
まず考えたのが、今回は函館本線山線巡りはあきらめて、替わりに室蘭本線(長万部-東室蘭間)の未訪問駅を巡るプランである。
ただ時刻表を見て、それがまったく意味がないことを知る。なぜなら室蘭本線も午前中の残りの上り列車は今乗っている1本のみで次が15時以降、下りも午前中は残り1本のみ。その後、札幌まで行くことを考えると、結局2駅しか訪問できず、しかも2駅目は約6時間滞在という厳しい時刻表。
ということで室蘭本線は1駅だけ降りて、再度、長万部駅に戻って、午後から函館本線の山線を2駅だけ訪問することにした。
やはり函館本線山線(長万部-小樽間)は、北海道新幹線の完成で廃線になる可能性が高い路線なので(その後3月末の発表で廃線が事実上の決定となっている)、少しでも今回のミスをリカバリーしておきたいと考えた。
そんなこんなで室蘭本線の車内で、その日の予定の組み直しを大急ぎで検討。とりあえず降りる駅は、あまり長万部駅から遠くない、大岸駅(おおきしえき)という駅に。海が近いこと、戻りの列車まで待ち時間に余裕があることで選んだ。
本当は過去に何度か降りてて思い出深い北舟岡駅(きたふなおかえき)に再訪問しようかと思ったんだけれど、戻り列車までの待ち時間が10分ほどと余裕がなかったのであきらめた。北舟岡駅は、海がめちゃくちゃ近い絶景駅で、超おすすめの海が見える駅。

室蘭本線の大岸駅は、内浦湾の穏やかな海や北海道駒ヶ岳がプラットホームから望める海が見える駅だった。
ちょっとびっくりしたのが待合室の大きな窓で、そこからも少し海が見える。しかもとても静かで心が落ち着く。

駅から海側の道路への出入口はなく、近くで海を見てみたいと思った私は、山側の道路を地図上で踏切が確認できる北の方角へ歩いてみる。
5、6分で踏切があり、そこを渡ると大岸漁港という小さな漁港があって、ホタテの水揚げをしていた。漁港の周りの海岸は、雪で埋もれていて、海の近くへは行けなかった。
約1時間ほど大岸駅と周辺を満喫し、長万部駅へ戻る列車に乗った。

途中、キングオブ秘境駅または日本一の秘境駅の小幌駅(こぼろえき)でめちゃくちゃ降りたい衝動に駆られたが、降りたら最後、午後15時過ぎまで約7時間近く離脱できなくなる。
というか冬の小幌駅に7時間も居て、もし天候が悪化したら、たぶん死ぬ。マジでこの駅だけは危ない。冬に降りるなら天気予報は必ず確認するべし。建物が見えるけど入れない。待合室もない。冬は駅の外はどこにも行けない。トイレはある。

午前9時前に再び長万部駅へ戻ってきた。
「さて、何をしようか・・・」
次に乗る列車は13:18発なので約4時間の乗り換え待ち。

まあ、長万部で時間が余ったら、特にすることが無いので、徒歩5分の長万部海岸に行くのがいつものパターンである。
この海岸は波の音が優しい感じで、いつも誰も居ないので、おっさんが一人でもくつろげる。すぐ近くにこんな素敵な癒やしスポットがあるのに、なぜか駅で待っている人は旅人も含めて誰一人と現れないんだよね。

昼メシは、もちろん長万部駅の駅弁 「かにめし」。
そしてこの日、海で食べる「かにめし」はめちゃうめぇという奇跡の大発見をした。海の潮の香りとカニの甘い風味が交わって、とても幸せな気持ちに!
なおこの駅弁は、現在、駅の売店には売っておらず、駅から徒歩1分ほどのところにある「かにめし本舗 駅弁直売所(かなや本店)」で店頭販売している。
ちなみに駅弁直売所には列車の車内を再現した「自由席」という名称の無料休憩所が併設されていて、駅弁を買った人も買わない人でも自由に休憩して大丈夫とのこと。実際、この日は、海で2時間半ほど過ごした後、この休憩所で1時間ほど休憩させてもらった。

午後の函館本線倶知安行き列車に発車の約15分前に乗って驚いたのは、すでに席がほぼ埋まっていて座れないということ。見た感じ、カメラとか旅行バッグとか持っている人が多くて、特に鉄道ファンの人が多い感じだった。
まあ無理に座ろうと思えば座れるんだけれど、詰めてもらって座ってもくつろげないから立つことに。
それに不思議と北海道は詰めて座る人は少なくて、席が開いていても立っている人が多いし、立っている人がいても席を詰めることはない。ただ座ろうとする人が居たら普通に詰めてくれるので、もともと悪気はない感じ。あと北海道は座席に荷物を置くのが普通。
東京や神奈川だと立っている人が居たら気を使って席を詰めるのが当たり前なので、初めて北海道の列車に乗ったら、びっくりすると思う。北海道ではそれが普通なので、決して怒らないように。

ミスのリカバリーに選んだ函館本線山線の1駅目は、比羅夫駅(ひらふえき)という日本で唯一、駅舎が民宿という珍しい秘境駅。
最近、テレ東のドラマ「鉄オタ道子、2万キロ」の舞台にもなった駅だったので、この時の多かった鉄道ファンが、まさかもしかしてここでどっと降りるんじゃないだろうか?だったらちょっと嫌だな...と、内心ドキドキしながら駅に到着。
ただ下車したのは私だけだった。
「あれ?誰も降りない・・・じゃあ、あの人たちは単に小樽、札幌に移動しているだけなのか?」
そこまでの途中駅でもほとんど降りなかったので、まさかとは思ったが、やはり考えすぎだったようだ。
比羅夫駅は、駅舎の半分と2階が「駅の宿ひらふ」という民宿になっていて、予約して訪れれば宿泊することができる。
「交通手段がないのでニセコに行く人は比羅夫駅には降りないでください、次の倶知安駅で降りてください」的な車内アナウンスの通り、ニセコの最寄り駅なのに駅前にはタクシーやバスなどの交通手段は一切なし。
そして実際に駅を訪問してみて、ちょっと驚いたのが駅前に民家を含めた建物が5棟ほどあったこと。しかも駅前の右側の家はわりと新しくて、子供も含む人や車の出入りが何度か見えて、寂れた感じがしない。少し歩くとさらに5棟ほど民家や別荘?が確認できた。
「思ってたより栄えている・・・」
もうちょっと秘境駅ぽい感じを期待してたが、駅舎も立派だし、まあ秘境駅って感じではないかな。ただ山林に囲まれているので、たしかに陸の孤島感はある。
あと「トイレは設置していないので列車内のトイレをご利用ください」的な看板が設置してあったこともびっくり。降りてから言われても次の列車は2時間後だから!もし比羅夫駅に行くなら、車内でトイレ(特に大)を済ましておこう。
今回の滞在時間は約2時間だけだったが、この日は、宿泊客も宿主も居ないみたいで駅はとても静か、たった一人でゆっくり流れる時間と、たまに聞こえる鳥のさえずりに癒やされた。そして、次は宿泊目的で訪れて、普通は絶対にできないプラットホームでのバーベキューをしてみたいと思った!
なおこの路線は北海道新幹線が開通したら廃線なので、この比羅夫駅に行けるのはあと数年だけ、厳しいなぁ・・・。

※ツイートはクリックしてTwitterに移動して大きな画像も見られます
この日、2駅目の訪問は、比羅夫駅の2つ隣の昆布駅(こんぶえき)という旨そうな駅名の駅に17:22頃に上陸、約20分ほど滞在。
駅の前に日帰り入浴もできる温泉ホテルもあって周辺はかなり栄えていた。

実はこの日、小樽に向かう列車で、途中にちょっとした事故が発生したんだよね。
トンネルの中を走行中、「ドガッ!」となにかにぶつかったような大きな衝撃音。そしてトンネルを抜けると列車は停車、車内アナウンスが流れた。
どうやら鹿と衝突したらしい。
運転士が無線でやり取りしているのが聞こえてくる。その間、数分、列車は止まったまま。やがて「衝突した鹿を確認してくるのでしばらくお待ちください」的な車内アナウンスが流れ、乗客を残して列車の外に行ってしまう。
「まずいなこれは、まさかと思うが、振替は勘弁してほしい」
過去、何度か旅の途中の列車トラブルでバスやタクシーへの振替輸送を経験したことがあるので、嫌な予感がしてならない。
10分くらい経っただろうか、やっと運転士が戻ってきて無線でやり取りをした後、列車は走りだした。
「ふぅ、走りだしてよかった」
この事故で15~20分くらいは遅れてしまったと思うが、不思議と小樽駅にほぼ予定時刻に到着したのでびっくり。20分遅れても、ちゃんと取り戻せるもんなんだなーすげーと思ったよ。

21時前頃に札幌駅に到着、「やっと夜メシ食べれるー」と喜んだのもつかの間、まん延防止の影響で20~21時で閉店らしく、駅のお店がまったく開いていなかった。
「マジか、札幌、お前もか!」
腰の爆弾がヤバかったので、開いているかわからない駅の外のお店を探す気にはなれず、またメシ抜きだけは厳しいので、とりあえずコンビニで食料を調達。札幌駅の地下通路のベンチで、一人さびしくコンビニのおにぎりを食べた。
なおこの日の旅路はここで終わりではない。札幌まできたのに、コンビニおにぎり食べて滞在2時間半ほどで、釧路に向けて再出発である(正直つらい)。北海道はとてつもなく広い。もし札幌で一泊してしまうと7日間の北海道&東日本パスでは、予定をこなしてから横浜駅までたどり着くことができないのだ。
そんな訳で、ビックカメラの斜め前辺りの札幌駅前(北4西3)という高速バス乗り場から、23:35発の札幌・釧路特急ニュースター号という高速バスに、泣きながら、乗った!
・
・
・
「回想・備忘録 4日目(3月10日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(花咲線前編)」につづく
※この記事は過去の下記記事の続きの続きみないなものです。
・2022年の廃止駅と北海道&東日本の冬旅の必需品MERRELLのウインターブーツ
・冬の鉄道旅 2022 東北&北海道、爆弾を抱えて、ひたすら駅を訪問する旅!
・回想・備忘録 1日目(3月7日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 岩手~秋田~青森
この記事は前回の「回想・備忘録 2日目(3月8日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(函館~長万部)」の続きです。
<前回のあらすじ>
夜行フェリーで青森港から函館港へ移動した私は、そこから五稜郭駅まで歩き、衝撃の事実を知ることになる。函館本線始発で、3/12に廃止になる函館本線砂原支線の銚子口駅(ちょうしぐちえき)、流山温泉駅(ながれやまおんせんえき)、池田園駅(いけだえんえき)などを巡り、同じく廃止になる函館本線(函館-長万部間)の石谷駅(いしやえき)、本石倉駅(ほんいしくらえき)を訪問し、この日の重要なミッションを完了する。そこから路線バスも取り入れ、廃止になりそうな駅をさらに3駅巡り、その日の宿泊地、長万部駅に到着し、長万部温泉で旅の疲れを癒やした。
・
・
・
朝4時半、スマホのアラームに起こされ、旅の3日目が始まった。
こんな早朝に起きるのは、出発前にも温泉に入って足腰の痛みを少しでも改善したかったからだ。実際、長万部温泉の疲労回復の効果は絶大で、ボロボロだった足や膝の痛みがほぼ改善できた。たださすがに腰の爆弾までは治しきれなかったが。
朝5時50分頃、旅館を出発。この時点で、とんでもないミスを犯していることを私はまだ知らない。
温泉街から長万部駅に徒歩で行くには、線路の東西を結ぶ中央跨線橋という近道を通るのが最短ルートなんだけど、この日そこに貼られていたお知らせを見て驚いた。
『お知らせ、このこ線橋は北海道新幹線建設工事に伴い令和4年度中の撤去を予定しています。そのため令和4年3月31日で通行できなくなります。(以下省略)、長万部町』
「まじか、温泉街に行けない!令和4年3月末って今月だよ!」
長万部駅での宿泊は長万部温泉しかないので、私にとってこれは大事件である。跨線橋を通ると駅から徒歩10分以内で長万部温泉に行けるのだが、これが無いとたぶん15~20分以上はかかると思う。
鉄道の撮影スポットとしても人気の跨線橋だったので、これはとても残念なお知らせだった。
調べてみたところ替わりの歩道橋は、なんと約6年後に完成予定の新幹線長万部駅の東西を結ぶ自由通路なんだとか。
この中央跨線橋、長万部駅や線路だけでなく、内浦湾の静かな海を望むこともできる。この日は朝焼けに染まる美しい風景だった。
そして朝6時20分頃に長万部駅に着いて、発車標(案内表示)を見た私に衝撃が走った!
「ん、始発が表示されてない、なぜだ?!」
乗車予定の函館本線の山線(長万部-札幌)の始発が発車標に表示されておらず、一瞬、何が起こっているのかわらかずパニックになりかけたが、すぐに横の壁の時刻表を確認、その原因が判明した。
原因は、始発の発車時刻の見間違いによる私の勘違いだった。前日寝る前にスケジュールが書かれた紙を確認した時に、06:03発と書かれているのを06:30発と、うっかり間違って思いこんでしまったのだ。03と30の見間違いである。
これは実際、過去にもよくあるミスで、早めに気がついて回避できたり、間違い時間の逆パターンで早く着きすぎて回避できたり、予定の組み直しで被害を少なくできたり、わりとうまく対処してきた記憶がある。
しかし今回は圧倒的に絶望的な状況だった。なぜなら始発06:03の次の列車は7時間以上先の13:29なのだ。
よってこの日の函館本線の山線(長万部-札幌)の駅の訪問予定がほとんどすっ飛んだことになる。ちなみにこの日に訪問を予定していた駅は、比羅夫駅、蘭越駅、ニセコ駅、昆布駅、仁木駅、小沢駅、然別駅、銀山駅の8駅。
<実際のタイムスケジュール>
※組み直したもの
■3/9(水)
06:38発 長万部駅
↓JR室蘭本線 東室蘭行き
07:03着 大岸駅(おおきし)
08:25発
↓JR室蘭本線 長万部行き
08:54着 長万部駅
13:29発
↓JR函館本線 倶知安行き
14:54着 比羅夫駅(ひらふ)
17:03発
↓JR函館本線 長万部行き
17:22着 昆布駅(こんぶ)
17:43発
↓JR函館本線 小樽行き
19:50着 小樽駅
19:57発
↓JR函館本線 新千歳空港行き
20:42着 札幌駅
↓徒歩5分
23:35発 札幌駅前 (北4西3)バスのりば
↓札幌・釧路六級ニュースター号(高速バス)
■3/10(木)
05:20着 釧路駅(駅前)

※ツイートはクリックしてTwitterに移動して大きな画像も見られます
もう午前中のリカバリーは不可能なので、とりあえず数分後(06:38)に発車する室蘭本線・東室蘭行きの列車に乗って、どうするか考えることに。
まず考えたのが、今回は函館本線山線巡りはあきらめて、替わりに室蘭本線(長万部-東室蘭間)の未訪問駅を巡るプランである。
ただ時刻表を見て、それがまったく意味がないことを知る。なぜなら室蘭本線も午前中の残りの上り列車は今乗っている1本のみで次が15時以降、下りも午前中は残り1本のみ。その後、札幌まで行くことを考えると、結局2駅しか訪問できず、しかも2駅目は約6時間滞在という厳しい時刻表。
ということで室蘭本線は1駅だけ降りて、再度、長万部駅に戻って、午後から函館本線の山線を2駅だけ訪問することにした。
やはり函館本線山線(長万部-小樽間)は、北海道新幹線の完成で廃線になる可能性が高い路線なので(その後3月末の発表で廃線が事実上の決定となっている)、少しでも今回のミスをリカバリーしておきたいと考えた。
そんなこんなで室蘭本線の車内で、その日の予定の組み直しを大急ぎで検討。とりあえず降りる駅は、あまり長万部駅から遠くない、大岸駅(おおきしえき)という駅に。海が近いこと、戻りの列車まで待ち時間に余裕があることで選んだ。
本当は過去に何度か降りてて思い出深い北舟岡駅(きたふなおかえき)に再訪問しようかと思ったんだけれど、戻り列車までの待ち時間が10分ほどと余裕がなかったのであきらめた。北舟岡駅は、海がめちゃくちゃ近い絶景駅で、超おすすめの海が見える駅。

室蘭本線の大岸駅は、内浦湾の穏やかな海や北海道駒ヶ岳がプラットホームから望める海が見える駅だった。
ちょっとびっくりしたのが待合室の大きな窓で、そこからも少し海が見える。しかもとても静かで心が落ち着く。

駅から海側の道路への出入口はなく、近くで海を見てみたいと思った私は、山側の道路を地図上で踏切が確認できる北の方角へ歩いてみる。
5、6分で踏切があり、そこを渡ると大岸漁港という小さな漁港があって、ホタテの水揚げをしていた。漁港の周りの海岸は、雪で埋もれていて、海の近くへは行けなかった。
約1時間ほど大岸駅と周辺を満喫し、長万部駅へ戻る列車に乗った。

途中、キングオブ秘境駅または日本一の秘境駅の小幌駅(こぼろえき)でめちゃくちゃ降りたい衝動に駆られたが、降りたら最後、午後15時過ぎまで約7時間近く離脱できなくなる。
というか冬の小幌駅に7時間も居て、もし天候が悪化したら、たぶん死ぬ。マジでこの駅だけは危ない。冬に降りるなら天気予報は必ず確認するべし。建物が見えるけど入れない。待合室もない。冬は駅の外はどこにも行けない。トイレはある。

午前9時前に再び長万部駅へ戻ってきた。
「さて、何をしようか・・・」
次に乗る列車は13:18発なので約4時間の乗り換え待ち。

まあ、長万部で時間が余ったら、特にすることが無いので、徒歩5分の長万部海岸に行くのがいつものパターンである。
この海岸は波の音が優しい感じで、いつも誰も居ないので、おっさんが一人でもくつろげる。すぐ近くにこんな素敵な癒やしスポットがあるのに、なぜか駅で待っている人は旅人も含めて誰一人と現れないんだよね。

昼メシは、もちろん長万部駅の駅弁 「かにめし」。
そしてこの日、海で食べる「かにめし」はめちゃうめぇという奇跡の大発見をした。海の潮の香りとカニの甘い風味が交わって、とても幸せな気持ちに!
なおこの駅弁は、現在、駅の売店には売っておらず、駅から徒歩1分ほどのところにある「かにめし本舗 駅弁直売所(かなや本店)」で店頭販売している。
ちなみに駅弁直売所には列車の車内を再現した「自由席」という名称の無料休憩所が併設されていて、駅弁を買った人も買わない人でも自由に休憩して大丈夫とのこと。実際、この日は、海で2時間半ほど過ごした後、この休憩所で1時間ほど休憩させてもらった。

午後の函館本線倶知安行き列車に発車の約15分前に乗って驚いたのは、すでに席がほぼ埋まっていて座れないということ。見た感じ、カメラとか旅行バッグとか持っている人が多くて、特に鉄道ファンの人が多い感じだった。
まあ無理に座ろうと思えば座れるんだけれど、詰めてもらって座ってもくつろげないから立つことに。
それに不思議と北海道は詰めて座る人は少なくて、席が開いていても立っている人が多いし、立っている人がいても席を詰めることはない。ただ座ろうとする人が居たら普通に詰めてくれるので、もともと悪気はない感じ。あと北海道は座席に荷物を置くのが普通。
東京や神奈川だと立っている人が居たら気を使って席を詰めるのが当たり前なので、初めて北海道の列車に乗ったら、びっくりすると思う。北海道ではそれが普通なので、決して怒らないように。

ミスのリカバリーに選んだ函館本線山線の1駅目は、比羅夫駅(ひらふえき)という日本で唯一、駅舎が民宿という珍しい秘境駅。
最近、テレ東のドラマ「鉄オタ道子、2万キロ」の舞台にもなった駅だったので、この時の多かった鉄道ファンが、まさかもしかしてここでどっと降りるんじゃないだろうか?だったらちょっと嫌だな...と、内心ドキドキしながら駅に到着。
ただ下車したのは私だけだった。
「あれ?誰も降りない・・・じゃあ、あの人たちは単に小樽、札幌に移動しているだけなのか?」
そこまでの途中駅でもほとんど降りなかったので、まさかとは思ったが、やはり考えすぎだったようだ。
比羅夫駅は、駅舎の半分と2階が「駅の宿ひらふ」という民宿になっていて、予約して訪れれば宿泊することができる。
「交通手段がないのでニセコに行く人は比羅夫駅には降りないでください、次の倶知安駅で降りてください」的な車内アナウンスの通り、ニセコの最寄り駅なのに駅前にはタクシーやバスなどの交通手段は一切なし。
そして実際に駅を訪問してみて、ちょっと驚いたのが駅前に民家を含めた建物が5棟ほどあったこと。しかも駅前の右側の家はわりと新しくて、子供も含む人や車の出入りが何度か見えて、寂れた感じがしない。少し歩くとさらに5棟ほど民家や別荘?が確認できた。
「思ってたより栄えている・・・」
もうちょっと秘境駅ぽい感じを期待してたが、駅舎も立派だし、まあ秘境駅って感じではないかな。ただ山林に囲まれているので、たしかに陸の孤島感はある。
あと「トイレは設置していないので列車内のトイレをご利用ください」的な看板が設置してあったこともびっくり。降りてから言われても次の列車は2時間後だから!もし比羅夫駅に行くなら、車内でトイレ(特に大)を済ましておこう。
今回の滞在時間は約2時間だけだったが、この日は、宿泊客も宿主も居ないみたいで駅はとても静か、たった一人でゆっくり流れる時間と、たまに聞こえる鳥のさえずりに癒やされた。そして、次は宿泊目的で訪れて、普通は絶対にできないプラットホームでのバーベキューをしてみたいと思った!
なおこの路線は北海道新幹線が開通したら廃線なので、この比羅夫駅に行けるのはあと数年だけ、厳しいなぁ・・・。

※ツイートはクリックしてTwitterに移動して大きな画像も見られます
この日、2駅目の訪問は、比羅夫駅の2つ隣の昆布駅(こんぶえき)という旨そうな駅名の駅に17:22頃に上陸、約20分ほど滞在。
駅の前に日帰り入浴もできる温泉ホテルもあって周辺はかなり栄えていた。

実はこの日、小樽に向かう列車で、途中にちょっとした事故が発生したんだよね。
トンネルの中を走行中、「ドガッ!」となにかにぶつかったような大きな衝撃音。そしてトンネルを抜けると列車は停車、車内アナウンスが流れた。
どうやら鹿と衝突したらしい。
運転士が無線でやり取りしているのが聞こえてくる。その間、数分、列車は止まったまま。やがて「衝突した鹿を確認してくるのでしばらくお待ちください」的な車内アナウンスが流れ、乗客を残して列車の外に行ってしまう。
「まずいなこれは、まさかと思うが、振替は勘弁してほしい」
過去、何度か旅の途中の列車トラブルでバスやタクシーへの振替輸送を経験したことがあるので、嫌な予感がしてならない。
10分くらい経っただろうか、やっと運転士が戻ってきて無線でやり取りをした後、列車は走りだした。
「ふぅ、走りだしてよかった」
この事故で15~20分くらいは遅れてしまったと思うが、不思議と小樽駅にほぼ予定時刻に到着したのでびっくり。20分遅れても、ちゃんと取り戻せるもんなんだなーすげーと思ったよ。

21時前頃に札幌駅に到着、「やっと夜メシ食べれるー」と喜んだのもつかの間、まん延防止の影響で20~21時で閉店らしく、駅のお店がまったく開いていなかった。
「マジか、札幌、お前もか!」
腰の爆弾がヤバかったので、開いているかわからない駅の外のお店を探す気にはなれず、またメシ抜きだけは厳しいので、とりあえずコンビニで食料を調達。札幌駅の地下通路のベンチで、一人さびしくコンビニのおにぎりを食べた。
なおこの日の旅路はここで終わりではない。札幌まできたのに、コンビニおにぎり食べて滞在2時間半ほどで、釧路に向けて再出発である(正直つらい)。北海道はとてつもなく広い。もし札幌で一泊してしまうと7日間の北海道&東日本パスでは、予定をこなしてから横浜駅までたどり着くことができないのだ。
そんな訳で、ビックカメラの斜め前辺りの札幌駅前(北4西3)という高速バス乗り場から、23:35発の札幌・釧路特急ニュースター号という高速バスに、泣きながら、乗った!
・
・
・
「回想・備忘録 4日目(3月10日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(花咲線前編)」につづく
スポンサード リンク

ひと言でいいので、気軽にコメントしていってください!
あなたのそのひと言がこのブログ運営の原動力なのです。よろしくお願いします。
あなたのそのひと言がこのブログ運営の原動力なのです。よろしくお願いします。
関連記事:旅と旅写真
-
回想・備忘録 3日目(3月9日) 冬の鉄道旅 2022 東北&北海道 旅行記 裏話 北海道(長万部~札幌)